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2024.12.23
澳门网上博彩_澳门现金网-在线官网スポーツとジェンダー平等国際研究センター(SGE)は今後の日本のこの分野における取り組みを検討する機会として、国内のスポーツ、ジェンダー、国際協力部門で活動する団体間での情報共有を目指し、第一回スポーツ×ジェンダー×国際協力勉強会を実施しました。
勉強会には、行政機関、開発専門機関、非営利団体、民間企業、研究者が参加し、多様な関係者の皆さんとジェンダー分野のスポーツを通じた国際協力について学びを深めました。
日時?場所:2024年11月26日(火) 18:00-19:30@澳门网上博彩_澳门现金网-在线官网 (オンラインハイブリッド形式)
SGEからの情報共有
1.ASEAN3カ国調査報告(SGEポスドク研究員 宮澤?古田)
まず、SGEポスドク研究員の宮澤と古田が2023年度に実施したインドネシア、ベトナム、フィリピンでの現地調査について報告しました。
調査結果はBronfenbrennerのエコロジカルシステムセオリーを援用し、女性のスポーツ参画や持続的な参加に対する阻害要因を4つのカテゴリー(個人的要因、関係的要因、組織的要因、文化社会的要因)に分類して分析が行いました。
国別の特徴として、インドネシアではムスリム規範に基づく女性特有の制約や家庭内での男性の強い影響力、フィリピンではカトリック教の影響による男性優位な価値観と女性アスリートの性的対象化の問題、ベトナムでは女性の自信不足や「美白」維持といった個人的要因などがあることが明らかになっています。
2.アジアの現状報告
ジェンダー主流化の政策的重要性(SGE副センター長 野口)
野口副センター長からは、SGEが各国支援において使用している、UN Womenの「平等を目指すすべての世代のためのスポーツ枠組み(Sport for Generation Equality Framework)」を紹介しながら、その中でジェンダー主流化が持つ意義について、包括的に説明しました。ジェンダー主流化とは、単なる形式的な男女平等の推進ではなく、あらゆる分野の政策や事業が女性と男性に及ぼす影響を精査し、両者のニーズや経験を政策プロセス全体に統合していく取り組みです。
特に重要な点として、ジェンダートランスフォーマティブアプローチの必要性が指摘されました。ジェンダートランスフォーマティブアプローチは、既存のジェンダーの役割や権力格差を根本から見直し、変革を目指すアプローチです。このアプローチでは、個人レベルでの女性のエージェンシー強化、関係性レベルでの意識や態度の変容、そして仕組み?構造レベルでの制度的変革という3つの層での取り組みが不可欠であることを説明しました。
各国の政策実装状況(SGE 日ASEAN事業 コーディネーター 坂口)
最後に、事業コーディネーターの坂口から、ASEAN各国の現状について、各国のフォーカス分野や目指す政策と、現状のギャップが報告されました。各国とも政策レベルでは性別を問わずスポーツをする権利を保障していくべきという認識がある一方で、実務レベルでは女性向けプログラムの不足や施設へのアクセス制限など、さまざまな課題が存在しています。特に予算配分の不均衡や意思決定層における女性の少なさなど、構造的な問題が依然として解決されていない状況が指摘されました。
一方で、アジアの取り組みのグッドプラクティスとして、マレーシアで2023年に制定されたSafe Sports Codeや、アジアの取り組みを国際的な場で発信していくための国際組織とSGEとの連携体制など紹介しました。
SGE特別客員研究員からのコメント
城西大学 山口理恵子教授
「特にエリートスポーツの領域、例えばオリンピックでの金メダル獲得を目指すようなレベルでは、選手たちは高度に職業化されており、ジェンダーの影響をあまり感じないレベルに達していると感じます。一方で、それ以外の層では依然として大きな格差が存在しており、これは日本を含むアジア地域に共通する課題だと思います。」
成蹊大学 稲葉佳奈子准教授
「東南アジアや東アジアの状況について、自身の研究分野とは異なる新たな知見を得られたことを評価しつつ、特にアジア各国の状況は、日本との共通点が多く見られる一方で、その度合いに差があるという印象をもちました。また、各国固有の要素として、宗教的な要素や歴史的な文脈の違いが影響していることにも言及し、これらがスポーツとジェンダーの関係性にどのように影響を与えているかについて、注目する必要性があると思います。」
筑波大学 清水諭教授
「調査を通じて各国の状況の違いがデータをもとに明確になってきていることを評価しました。また、スポーツとジェンダー分野におけるSGEのポジションが明確になってきており、今後SGEが、いろいろな組織との関係性を生かして活躍していくことを期待します。」
参加者からの取り組みの共有及びコメント
スポーツ庁
本事業について、また皆様の取り組みについて伺うことができ、このような機会を設けた意義があったと感じ、嬉しく思います。
独立行政法人 国際協力機構(JICA)
スポーツ分野での国際協力を多角的に展開しています。JICA海外協力隊としては、本日現在、181名のスポーツ隊員を世界各地に派遣しており、そのうち52名が女性隊員です。派遣分野は体育、ソフトボール、バスケットボール、陸上競技など多岐にわたっています。
特筆すべき事例として、タンザニアで実施している「レディースファースト」の取組みがあります。これは女性のみを対象とした陸上競技大会で、すでに第6回まで開催されています。これは単なる競技会にとどまらず、子ども向けイベントや月経に関するワークショップなども併せて実施し、スポーツを通じた開発を実践するアプローチを取っています。さらに、南スーダンから政府関係者が視察するなど、国際交流の要素もあります。
また、ケニアではジェンダーに基づく暴力(GBV)対策の一環として、スポーツを活用したサバイバーの心理的回復プログラムを実施。スポーツを通じたソーシャルインテグレーションの促進に取り組んでいます。
独立行政法人 日本スポーツ振興センター(JSC)スポーツ?フォー?トゥモロー?コンソーシアム事務局
日本政府が推進するスポーツ?フォー?トゥモロー(SFT)の実施主体として、スポーツを通じた国際交流?協力を展開しています。140の団体(2024年12月12日時点)が参加するコンソーシアムを運営し、研修やワークショップ、会員交流会やカンファレンス、最大150万円の助成金など、スポーツ国際交流?協力活動を行う会員に対して、様々な支援を実施しています。また、ユネスコ等国際組織への情報発信も積極的に行っています。ジェンダー分野においては、専門家による国内外の動向?事例の提供や、パラオでのバスケットボールを通じたジェンダー平等推進プロジェクトなどを支援しています。
株式会社JIN
南スーダンにおいてJICAプロジェクト「スポーツを通じた平和促進」を実施しています。このプロジェクトは、南スーダンの若者を被益対象とし、(1)平和に資する全国スポーツ大会の開催支援、(2)平和に資する草の根スポーツ(スポーツアカデミーや学校)の支援、(3)関係者プラットフォームの構築という3つの柱で構成されています。特にジェンダーに関しては、(1)は途中から女子スポーツにフォーカスを当てた活動に変更し、女子の参加や関係者の意識変容の促進を試みました。(2)では、支援しているスポーツアカデミーの一つが女子バレーボールを対象としています。女子がスポーツを行う際の様々な文化的?社会的制約に対応するため、アカデミー内でのコーチの女子選手に対する認識?配慮の強化、それに伴う選手との信頼関係の強化、また、選手の家族(特に親)や属するコミュニティの女子スポーツに対する理解促進や協力体制の構築を行っています。
㈱国際開発センター
JICAの「スポーツと開発に関する情報収集?確認調査」を実施しています。子どもの頃から男女ともにスポーツに親しむ機会を持つという点で、特に教育分野との連携が重要と考えます。各国の文化的背景やスポーツの設備状況は様々であることも考慮して、取り組んでいく必要があると思います。
SDGs in Sports
日本のスポーツ界の環境?気候変動(主にガバナンスにおける)ジェンダー平等の推進に取り組んでいます。(代表の井本さん個人として、モザンビークの紛争地域の子どもたちのインテグレーションや、エンパワメントに関する取り組みも行っています。)
本勉強会は、スポーツ庁「澳门网上博彩_澳门现金网-在线官网6年度 ポストスポーツ?フォー?トゥモロー推進事業(スポーツにおけるジェンダー平等推進事業)」の一環として開催しました。